お酒の席
少し遅れて会社の飲み会の席に着いた。
空いているテーブルで自分が話しやすそうな顔を探して、そこに座った。
別部署の50代の所長と長年勤め上げて今は嘱託の技術さんがいる席だ。そこには他部署の派遣先から戻って来ていて、待機待遇でこの仕事場に来ている人(多分60くらい)も一人。
私を入れて計4人のテーブル。
他部署の事務員な私はある意味全くのアウェイなのだが、私達の心がひとつになった。私達は殆んどお酒を飲まなかったのだ。
最初の一杯の乾杯ですら、私は白湯を貰っていた。テーブルの上に置かれたビールのピッチャーはそこのメンバーの総意で酒豪のいるテーブルへ渡した。
私に注ぐ人間がいなければ、杯を気にしなければならない人間も居なかった。
鍋用の卓上コンロがテーブル真ん中に置かれはしていたが、鍋が来ない内に待機の方が終電のために帰宅した。待機さんは、2時間半かかる上、駅からのバスが早く終わってしまうからだと言っていた。
早々に一人減ってしまったが、私達は、正月の話をし、体調の話をし、病院の話で盛り上がった。
全く若い要素の無い話だったけど、なんの障りもない話を出来て、私は楽しかった。
途中から、いつも盛り上げ役のメンバーが、各テーブルを回り始めた。このテーブルにも寄って、必ず場を暖めて帰っていく。社会人として営業的に酒の席を回って、偉いなぁと彼らを眺めた。
(そして少しだけ、話の回し方の技量に嫉妬する)
さて、この度の主張。
実は私はかつて、結構飲む、な人間だったのだか、完璧に付き合いで飲んでただけだった。
ビールもワインもブランデーも老酒もウィスキーもサワーも酎ハイも美味しいと思ったことがなく、飲物はジュースやお茶すら飲みたくなく、水を飲みたいのを我慢して。
ずっと我慢して付き合っていただけだった。
時代的に、上司の、同僚の、友人の、酒を断ることができずに、我慢しながら続ける酒の席。
苦痛だったー。
いや、これはもう、30位までの時に若さゆえにに乗り越えてきた事だけどね。
もう、やれない。
それを
「旦那さんが飲まない人なんだねー」
「それじゃ、飲まなくのるよね」
「妊娠とかで禁酒すると、飲めなくなるよね」
てさー。
なーんで「飲む」のが前提なんだよ。
私以外の二人も、「飲む」前提の話をされて、何となくお茶を濁しながら、明確な返事を避けて、話題を変えた。
私の時代も去ることながら、嘱託の方は今68才かな。
全くこの件りは、何度も繰り返してきたんだろうなぁ。「飲む」前提。
私の泣き言などは、まだ浅いのかも。
あーでも、最近お湯割り用のポットを貰って白湯をGETするのが、私的の処世術@酒の席。