可愛いもの
ある時、「可愛さ」とは無縁な自分に気が付き、絶望したのかもしれない。
そして、男の子の服や靴、シンプルな小物しか興味がなくなった。
青と紺のラインとロゴのカンペンをやっと見つけた時は、心底気に入って、買った。今でも覚えている、それは小学3年生だった。
シンプルは最強と、今でも信じているが、それを小中学生の娘達には押し付けるつもりはな…。
いや。途中から気が付いた。
発言力の無い幼児の視線は無視して、洗脳しようとしていたけど。
やっぱり可愛い物へのテンション上がり具合は無視できなかったしな。
なにより、自分の容姿偏差値に気がつく前に、可愛さを楽しむ時代があっても良いはずだし。それに昨今は「可愛いは正義」の時代ですから。(いや、以前からですね)
娘の望む店に行き、カラーペンとシャーペンの芯、メモ帳、ノート、弁当箱、箸を選ぶ。
それでもつい、口を出して、「こっちの方が使いやすくて良いんじゃない?」と言ってしまうけど。
「これは、◯○ちゃんが持ってるから、マネになる。こっちは可愛くない。」
友達関係にも文房具て大事、だもんねぇ。ダサかったら、スクールカーストで厳しくなっちゃうもんねぇ。
気に入った賞品を買って、満足して帰った。
戦利品の整理をしながら、ひょいと新品のペンを借りた。
キラキラと光を、反射するボールペン。
かわいい。
気分良く、文字を書いた。
ボールペンはフリクションの赤黒の多色ペンしか使わないつもりだけど、やっぱり可愛いの力って強いなぁ。
ま、借りるくらいでちょうど良いけど。