読みかけの本

ちょっと業務が落ち着いたので、以前買ったまま読んでない本を読み始めた。

怪人二十面相江戸川乱歩
「日本の古典を読むシリーズ雨月物語冥土の飛脚、心中天の網島」

怪人二十面相」は、
小学校の図書室でこのシリーズを何冊か読んだ覚えがあるが、1冊か2冊か。この題名では無かったもの。
たまたま古本屋で見つけて、娘が喜ぶかもしれないと思って買った。
去年の年の始めの頃にNHK江戸川乱歩の特集をしていたのもあって手に取った本だった。
読み始めると、まるで紙芝居の口上を聞かされているような滑らかな語り口。その滑らかさが胡散臭くて怪しい怪人のいる日本を想像した。出てくる人物も浮浪者、下女下男、金持ちの老人、国宝級の由緒ある品々。やたら闊達な怪人と正義感の溢れた美丈夫な探偵と。
予定調和からはみ出さない安心感のあるストーリが進んでいく。
古い物語の言い回しとその時代の価値観を眺めながら、私はその当時は何も知らないで、分からないまますらすらと読んだんだと思い出した。


「日本の古典を読む」のシリーズはハードカバーで2㎝は厚みが有って、持ち運ぶと重かったが、現代語訳と原文を交互に並べてまとめてある。帯の紹介に「歴史小説を読むように古典文学を読む」と言う文を見て手が伸びた。古典自体は嫌いだったけど、雨月物語を1度読んでみたかったし。

物語の解説もカラーページも有って読み応えがある…から厚くて重いんだろうけど。
読んでみると現代語訳が美しいと思った。その後に原文を読むと何となく意味は解るし、原文自体のリズム感も楽しめた。
古典の授業の時は訳しながら解説も聞いて、と中々ストーリーまで楽しめなくてモヤモヤした。助詞の活用とか本当に面倒だったのまで鮮明に思い出し、(それこそその時の古文の先生の声まで)苦々しい気持ちになった。これが今なら楽しめるのは、テストに関係ない気楽さのせいなんだろうけど。



と、楽しんでいたのに、途中からこの二冊を投げ出した。


そもそも最近読むものは、スマホからの文章ばかりで、本、紙の重さを肩に乗せるのに厭きてきたせいもある。

けど、
怪人二十面相」は、怪人が下準備を、お金と時間をかけてやっているし、対する探偵はプライドと命をかけて対峙しようとしている。どちらかいつか負けるのをハラハラしながら読み進める。
そして、私はどちらにも負けて欲しくなくなってきていた。


「日本の古典を読むシリーズ」は
雨月物語を読み終えて、冥土の飛脚を読みはじみたが、商売が上手くいっていた店の若旦那が、何だか最近様子がおかしいと年老いた母親か心配している。折しも今日は金を返せと言う話を朝から何度も聞いた、
一体どうしたんだろう、と不安ばかりで店の人間にこぼしていた。
きっとこの話は、若旦那がやらかして店が傾いてしまうんだろう。親を悲しませて店に迷惑をかけて、当人は逃げてしまうのかも…と想像した。


どちらも読みたくない内容。
それでストップ。
幸せな冒険物語位な話でないと、
読む気になれない。読むに耐えない。

こんな風にストップするとは。
そう言えば。雲行きの怪しくなってきたらドラマも、途中で見るのを止める。
メンタルの弱さよ。