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小説「月と蟹」

月と蟹 (文春文庫)

月と蟹 (文春文庫)

読み終った。
道尾秀介を読むのは初めて。

何と言うか、瑞々しい文章だったな。
小学生と夏休み、海、山、友人、秘密、女の子、父親、母親、祖父。

これでもかと言うてんこ盛りに、小学生の子供の話だった。

子供とは、小学生とは、友人関係が絶対的で、親も絶対的で。
親、友人関係がどんなか、と言うのが世界の意味だ。世界を変える力がまだ無い子が、世界を知り、世界を選び始めて、初めて自分の力を作り始める。
主人公が「世界の変動」に揺られながら戸惑い、選ぶともなく流されて行く過程や、世界をもぎ取ろうとする子供ながらの強さ、そして、やはり子供ならではな結末。

久しぶりに、歩きながらも読んだ。

子供が世界を渡り歩こうとする話は他は「コインロッカーベイビーズ」と「青の炎」が私的には印象的なのだが、この二つ比べて絶望感が無いのは、豊かな自然の描写だったり、貧しいながらの愛情だったり、リカバリーがききそうな状況なせいかもしれない。
子供を搾取するためにしか考えない大人が出てこない。これのお陰で安心して読み進められた。
それ故に、巧くやろうとしながら失敗していく様の誰もが経験する事、に集中して読めて、切なくなった。
あー、こんなことあるよね、て思えたり。切なくなるだけで済んでいるんだよな。

ホント、自分の子供の頃を思いだした。
残酷な遊びも、絶対的な親という存在や、友達との関係を。

2晩程で読み終えた。
短めな話。
面白かった。

コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

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コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

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青の炎 (角川文庫)

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