赤く、秋が

栗を拾いにおいでよと誘われ、車で一時間かけて遊びに行った。

久し振りに土手沿いの道を通れば、夏に青々とした草はなりを潜め、薄茶色の斜面の所々に彼岸花が咲いていた。

もう、そんな頃なんだ。
そう言えば、陽射しは強いがすっかり空気は軽い。

あそこの彼岸花も咲いてるんだろうね?と聞けば、
もう見頃だな、と当たり前のように応える。

あそこの一面の赤い花畑は、ポスターやら写真で見れるだろうし、さらに遠い。行く気はしない。

道端の彼岸花で十分だな。

花は、一塊に身を寄せるようで、その赤細い花火のような花弁と太く緑の茎が真っ直ぐ延びていて、花束にしたら抱えやすそうだった。


鎌があればいい。

あの土手を昇って、あそこの彼岸花の一塊を鎌でザクリとかいで。

青い香りを放つ、赤い花束を抱えるのを想像した。