耳を塞ぎ、音楽を身に纏う

歌を沢山入れたウォークマンを鞄に入れた。
音楽を持ち歩くのは殆んどしたことない。

いや、前したことあったけど。

アルバムを、丸々入れて聴いてる内に、大概酔うんだ。イヤホンが耳の中に詰まって、そこから出てくる音に頭痛がいつの間にか始まってしまうんだ。同じ人の声が似たような歌を繰返し歌うんだ。終わりがないみたいに。気がつけば吐き気もしてるんだ。
大好きで買った筈なのにいつか、聴かなくなって。その内処分してしもうんだ。好きと思った気持ちと一緒に。

だから、ずっと買ってなかったんだけどね。

好きになったのを観念して認めて。車の中で何度も聞いても飽きなくて、だから他のもお願いして頂きました昔のアルバムです。

楽しいです。
耳にはまったイヤホンはやっぱり気持ち悪いけど。

世界の音を減らしてそこから流れる音楽が私の為だけに流れてきます。

自転車に乗りながら、リズムに合わせてペダルを踏んでいます。
まだ明るい空に大きめな黄色い月が見えて。
丁度電線に掛かった月が、五線譜に載る音符のみたいで。
自転車の進みと同じだけスムーズに動いて音を奏でていると錯覚できて。
少し冷えてきた空気の流れも、車道を走る車のスピードさえ音楽と合っているみたいに思えて。

楽しく家まで帰れました。


家に帰るのが惜しかった。